
「ノンシリコンのシャンプーが良いって聞いたけど、本当ですか?」
「シリコン入りは髪に良くないって聞いたんですけど。」
営業中にこのようなご質問をいただくことがよくあります。

こんにちは。名古屋市中村区で美容室を経営している、オーナー兼美容師の甲斐誠章です。
数年前から「ノンシリコン」という言葉をよく見かけるようになり、
「シリコンが入っているものは避けたほうがいい」
「ノンシリコンのほうが髪にやさしい」
と思っている方も多いかもしれません。
私も普段はなるべくノンシリコンのものを使用し、お薦めもしています。
ですが、私はシリコンが入っているか、入っていないかだけで、良い悪いを判断するのは少し違うと思っています。
なぜなら、シリコンは髪の状態によって、メリットにもデメリットにもなり得る成分だからです。
たとえば、冬に厚手のコートを着ることを考えてみてください。寒い日に着れば、とても頼りになります。でも、真夏に厚手のコートを着れば、「暑い」「重い」と感じますよね。
シリコンも少し似ています。
ダメージが進んで絡まりやすい髪には、髪を扱いやすくしてくれることがあります。
一方で、もともと健康でツヤのある髪に、シリコンが入った製品をいくつも重ねて使えば、必要以上に重たく感じることもあります。
つまり大切なのは、
「シリコンが入っているか」ではなく、「今の自分の髪にどのくらい必要なのか」
を知ることが大切ということです。
今回は、シリコン入りのシャンプーやトリートメントを上手に使うために、シリコンの役割から、向いている髪・使いすぎに注意したい髪まで、美容師目線で分かりやすくお話しします。
シリコンってそもそも何?
まず、「シリコン」と聞くと、何となく人工的で髪に悪そうなイメージを持つ方もいると思います。ですが、シリコーンは化粧品やヘアケア製品など、さまざまな分野で使われている素材です。
シリコーンは化学的に安定していて、生体への毒性が低い性質があり、医療機器などにも利用されています。また、食品分野でもシリコーン樹脂の一種であるポリジメチルシロキサンが、食品添加物として消泡剤に使用されています。
例えば、豆腐を作るときの豆乳の泡を抑えたり、揚げ油やジャムの製造工程、酒精飲料の発酵工程などで使われています。
つまり、「シリコンが入っている=人体にとって危険」という単純なものではありません。
もちろん、食品に使われるものと化粧品に使われるものでは、用途や規格が違います。
ここでお伝えしたいのは、シリコーンという素材そのものを必要以上に怖がる必要はないということです。
では、なぜシャンプーやトリートメントにシリコンを入れるのでしょうか?
シリコンは髪をコーティングして手触りを良くする
シリコンをヘアケア製品に配合する大きな理由は、髪の表面をなめらかにして、指通りやまとまりを良くするためです。
髪は毎日、シャンプーをしたり、乾かしたり、ブラシを通したりしています。
さらに、カラーやパーマ、紫外線、摩擦などによってもダメージを受けます。
傷んだ髪は表面がザラつき、髪同士が引っかかりやすくなります。
例えば、新品のタオルと、何度も洗濯した古いタオルを思い浮かべてみてください。
新品のタオルは表面がなめらかですが、使い込んだタオルは少しゴワゴワしていますよね。
髪もダメージが進むと、それに似た状態になっていきます。
そこでシリコンが髪の表面をなめらかにし、髪同士の摩擦を減らすことで、指通りを良くしてくれます。
実際にヘアケア製品に使われるシリコーンには、髪が濡れているときから乾いた後まで指通りをなめらかにし、まとまりを良くする働きがあります。
だからこそ、シリコンは「髪を悪くするための成分」ではありません。
むしろ、髪の状態によっては非常に便利な成分です。
では、どんな髪に向いているのでしょうか?
シリコン入り製品がおすすめできる髪
1.ブリーチなどでダメージが進んでいる髪
まずおすすめしやすいのが、ブリーチなどでダメージが進んでいる髪です。
ブリーチを繰り返した髪は、乾燥してパサついたり、絡まりやすくなったりします。
特にロングヘアの場合、毛先が引っかかってブラシが通らないこともあります。
このような髪を無理に「ノンシリコンだから」という理由だけで選ぶ必要はないと思います。
むしろ、髪の表面をなめらかにして、毎日の摩擦を減らすことを優先したほうがよい場合があります。
髪が濡れているときは特に傷みやすいため、シャンプー後に髪が絡まってしまう方は、指通りを良くするヘアケアを選ぶことも大切です。
2.細くてクセがあり、絡まりやすい髪
もう一つは、髪が細く、クセがあって絡まりやすい方です。
髪が細い方は、一本一本の髪が柔らかいため、髪同士が絡まりやすいことがあります。
朝、髪をとかそうとして、
「また引っかかる……」
と毎日感じている方もいるのではないでしょうか。
このような場合も、髪の表面をなめらかにすることで、扱いやすくなることがあります。
シリコンは髪を「治療する」成分ではありません。
傷んだ髪を元の健康な髪に戻すわけでもありません。
ですが、髪の表面を整えて、毎日の摩擦や絡まりを減らし、今ある髪を扱いやすくするためのサポートとして考えると分かりやすいと思います。
反対に、シリコンを使いすぎないほうがいい髪もあります
では、シリコンは多ければ多いほど良いのでしょうか?
もちろん、そういうわけではありません。
特に注意したいのが、もともと健康で、しっかりした黒髪の方が、シリコン入り製品を何種類も重ねて使うケースです。
例えば、
シリコン入りシャンプーを使う。
↓
シリコン入りトリートメントを使う。
↓
お風呂上がりにシリコン系のアウトバストリートメントを使う。
↓
最後にシリコンを含むスタイリング剤を使う。
このように、1つ1つの商品は悪くなくても、いくつもの製品を重ねて使うことで、髪の質感が重たく感じられる場合があります。
特に比較的ダメージが少なく、もともと髪にハリやツヤがある方の場合、
「なんとなく髪がベタつく」
「乾かしても重たい」
「以前よりボリュームが出なくなった」
と感じることがあります。
これは「シリコンが髪に悪い」ということではありません。
必要以上にコーティングする必要がない髪に、たくさん重ねてしまっている可能性があるということです。
「もっとツヤを出したい」
「もっとサラサラにしたい」
という気持ちから、いろいろな商品を重ねすぎないことも大切です。
シリコンは成分表示でどう見分ける?
では、実際にシリコンが入っているかどうかは、どう確認すればよいのでしょうか?
商品の裏側にある成分表示を見ると、ある程度確認することができます。
代表的なものとしては、
- ジメチコン
- アモジメチコン
- シクロペンタシロキサン
- シクロヘキサシロキサン
- ジメチコノール
- フェニルトリメチコン
などがあります。
製品によってさまざまな種類があり、成分名に「シロキサン」や「シリコン系」の構造を示す名称が含まれるものもあります。
花王のヘアケア情報でも、ヘアケア製品に使用されるシリコーンとしてジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンなどが挙げられ、成分表示では「ジメチコン」や「シロキサン」を含む名称で記載されると説明されています。
ただ、成分表示を見て、
「ジメチコンが入っているから悪い」
と判断する必要はありません。
同じシリコンでも、種類や配合量、他の成分との組み合わせによって、仕上がりは変わります。
大切なのは、成分名だけで判断するのではなく、実際に自分の髪がどう仕上がっているかを見ることです。
シリコンの使いすぎは美容室での施術にも関係する?
ここは美容師として、少しお伝えしておきたいところです。
「シリコンを使っているとカラーやパーマができない」
という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
ただ、これは少し極端な言い方です。
一般的なシリコーン配合ヘアケア製品について、通常の使用方法で使った場合に、必ずヘアカラーやパーマに悪影響が出るとはいえません。実際、シリコーンの有無によるカラーやパーマへの効果の違いが見られなかったという検証結果もあります。
一方で、美容師として施術をするときには、お客様が普段どのようなヘアケア製品を使っているのか、髪にどのくらい油分やコーティング感があるのかを確認することがあります。
髪が重たく感じるほどいろいろな製品を重ねている場合は、今のヘアケアを見直したほうがよいケースもあります。
つまり、
「シリコン=カラーやパーマの敵」ではなく、過剰に使いすぎると悪影響
ということです。
美容室でカラーやパーマをする予定がある方は、普段使っているシャンプーやトリートメント、アウトバストリートメントなどを美容師に伝えておくと、自分の髪に合った施術やホームケアを考えやすくなります。
シリコンは「悪い成分」ではなく「使い方」が大切
ここまでお話ししてきたように、シリコンは決して「入っていたら避けるべき成分」というものではありません。
むしろ、
ダメージが進んだ髪には、髪を扱いやすくするために役立つことがある。
反対に、
健康な髪にいくつものコーティング製品を重ねすぎると、重さやベタつきなど悪影響につながることがある。
この違いを知っておくことが大切です。
今回のポイントをまとめると、次の3つです。
1.シリコンは髪の表面をなめらかにするために使われる
髪の摩擦を減らし、指通りやまとまりを良くする目的で配合されています。
2.ダメージ毛や絡まりやすい髪にはメリットがある
ブリーチなどでダメージが進んだ髪や、細くてクセがあり絡まりやすい髪には、シリコンによるコーティングが役立つ場合があります。
3.健康な髪に重ねすぎない
シャンプー、トリートメント、アウトバストリートメント、スタイリング剤と、すべてをコーティング重視にする必要はありません。
髪の状態に合わせて、必要なものを必要な分だけ使うことが大切です。
「シリコン入りとノンシリコン、どっちが合う?」と迷ったら
シャンプーを買うとき、
「シリコン入りとノンシリコン、どっちを選べばいいですか?」
と迷う方は多いと思います。
でも、本当は「どちらが正解」という話ではありません。
大切なのは、
今の自分の髪に何が必要なのか
です。
ブリーチをしているのか。
カラーを繰り返しているのか。
髪が細いのか。
クセがあるのか。
絡まりやすいのか。
逆に、健康な黒髪でボリュームが出にくいのか。
同じシャンプーでも、髪質が違えば仕上がりの感じ方は変わります。
エヌドファイブでは、お客様の髪質やダメージの状態を見ながら、シャンプーやトリートメント、アウトバストリートメントなどの使い方についてもご相談いただけます。
「ノンシリコンのほうがいいと思って使っているけれど、髪が絡まる」
「シリコン入りを使うと髪が重くなる」
「何種類もトリートメントを使っているけれど、何が必要なのか分からない」
そんな方は、一度ご相談ください。
髪に必要なのは、たくさんのヘアケアをすることではありません。
今の髪に合ったものを、必要な分だけ使うことです。
シリコンを避けるか、使うかだけで考えるのではなく、自分の髪にとってちょうどいいヘアケアを一緒に見つけていきましょう。

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