「インスタでブリーチなしで検索して、この色いいなって思ったんでこの髪色にしたいです!」
「あー、この仕上がりの色がご希望でしたら、〇〇さんはブリーチをしないと難しいですね…。」
「え?でも、ブリーチなしって書いてありますよ?」
「そうですね、多分、このカラーを染めるときはブリーチをしていないんですけど、それ以前にはブリーチなどをしていて元々の髪の色が明るかったモデルさんなのだと思います。ですから、”今回は”ブリーチしていないということなんですけど…。」
「え〜…?(意味わかんない。)」
こんにちは。
名古屋市中村区で美容室を2店舗経営しているオーナー兼美容師の
甲斐誠章です。
最近、本当に多いです。#ブリーチなしのヘアカラーをご希望される方。
発信されている美容師側の責任なんですけど、
『(以前にはブリーチをしてあるけど今回は)ブリーチ無し。』という、誤解を招く表現で勘違いをしてしまったお客様の対応に、多くの美容師が困っております。せめてbeforeの写真も載せておいてくれると分かりやすいんですけどね…。
美容師の間では、もはや『ブリーチなし詐欺』として話題になっています。
絶対にブリーチをしていなくてはできない仕上がりの写真を『ブリーチ無し』としてアップするので、最初のような会話の流れになります。
で、『ブリーチ無し』の写真を見せてくれるお客様はブリーチをしたくないからこそ、そのキーワードで探すので、「ブリーチすればできますよ?」には、「え~、話が違うじゃん。ブリーチ無しでやって?」となるわけです。
絶対にその色にはならないのに。
その結果がやる前から分かっているので、美容師側も困っているのです。
ここが、悲劇のポイントですね。
今回は『ブリーチなし』の髪色の誤解を受けやすい部分と注意する点を解説いたします。
ヘアカラーの仕上がり色の出方。
ここが一番誤解を受けやすいポイントかと思うのですが、
お客様としては、ヘアカラーの仕上がりは『塗った色(使ったカラー剤)で、そのままの色に仕上がる。』と思っている方が多いと思います。
ですので、ピンクを塗ればピンクに、グレージュを塗ればグレージュになる。
と考えている方がほとんどです。
要は、ヘアカラー剤の種類や調合の問題だと。
これは、合っているようで正確には違います。
塗った色味には近くなりますが、その仕上がりは元々の髪の色(明るさ)に影響を受けた仕上がりになります。
※ヘアカラー剤を塗る前の髪の色
画用紙に水彩絵の具で色を塗ることをイメージしていただけると分かりやすいかと思います。
下のイメージ画像をご覧ください。
左側が黒髪、右側がブリーチなどをして明るくなった髪です。
分かりにくいですが右端はほとんど白色っぽくなっています。
ここに薄い綺麗なピンクとシルバー系のグレーを入れたとします。
すると、下のような色味になります。
下地の色と混ざってだいたい上の図のような仕上がりになります。
元々の髪色が明るいほど、塗ったカラーの色味に近い仕上がりになっているのが分かります。
拡大するとこんな感じです。
ブリーチをしていない明るさでは、調合した色味にはならないのです。
元々の髪の色(茶色や黄色っぽい色)が混ざった色の仕上がりになってしまうのです。
「全然ピンク色じゃないじゃん。」
と思われるかもしれませんが、同じ明るさの髪色に違う色を入れた場合と見比べると、ピンク色に近いと感じるのではないでしょうか?
いかがでしょうか。
塗ったカラー剤の色にはなってはいないですが、見比べると
青は青っぽく、緑は緑っぽく、ピンクはピンクっぽくなっていると思います。
これが通常のブリーチなどをしていないお客様の髪色のイメージなのです。
「仕上がりの色が濃い(暗め)だから黒髪からでも濃いめのグレージュが綺麗にできるでしょ。」とはならないのですね。
鮮やかな色味になるには。
もちろん、本当にブリーチ無しで出来る仕上がりも当然ありますが、
美容院でヘアカラーをオーダーする時の注意点としては、
綺麗な発色をしているヘアカラーほど、ベースの髪色が明るいと考えていただくことです。
別にブリーチがなくっても良いんです。
元々の髪の色が白に近いくらい明るいのであれば。
白髪のおばあちゃんの鮮やかな紫色の髪を見たことはありませんか?
全部真っ白な白髪ならブリーチはいらないんです。
『#ブリーチなし』の画像の色が鮮やかな色や淡く柔らかい色味に見えるのでしたら、注意が必要です。
もともと明るかった髪に薄めの色味のカラー剤を使った、
「今回はブリーチをしていないよっ(その前にはブリーチしているけどもね)。」という詐欺に近い投稿かもしれません。
希望の色味になりたい場合は、まずは、自分のベースの髪の色(明るさ)も整えておく必要があるのです。
ブリーチをする際の注意点
では、実際にブリーチをして鮮やかな色味にした時の注意点をお伝えします。
①ダメージがとても出ます。
『ケアブリーチ』や『ダメージのでないブリーチ』などの言葉もありますが、ブリーチをしてダメージが出ないなどということはあり得ません。いいですか?あり得ません。
大事なことなので2回言いました。
仕上がりの画像や動画がツヤツヤサラサラなのは、アイロンでスタイリングしてあるからです。
次の日からもツヤツヤでサラサラになりたい人は、毎日ヘアアイロンでのスタイリングが必須になります。
「アイロンでスタイリングは面倒臭いなぁ…。」という方は、綺麗なブリーチヘアを保つのは難しいかもしれません。
②色の持ちは1〜2週間程度。
ブリーチカラーを初めてする人に多いのですが、綺麗に染めた色味が1ヶ月以上楽しめると思っています。
下の画像をご覧ください。
当店のスタッフですが、4月12日にブリーチヘアにグレーのヘアカラーを入れた後の約1週間後、4月21日にはグレーがほとんど抜けてしまっています。
↑ビフォー
↑アフター
↑9日後
約1ヶ月後には金髪になってしまいますので、この色持ちの程度も考えておく必要があります。
「え?職場で金髪はまずいんだけど…。」という方は、かなり定期的に色を入れ直す必要があるかもしれません。
③パーマや縮毛矯正はできなくなります。
ほとんどの場合に、一度ブリーチをした部分にはパーマや縮毛矯正はかけられなくなってしまいます。
①のダメージに関係してくるのですが、髪が傷みすぎてパーマや縮毛矯正に耐えられなくなってしまうのです。
無理やりすると、チリチリの髪になってしまたり、最悪、切れ毛になってしまいますので、こちらも注意が必要です。
まとめると
SNSではさまざまな画像や動画がアップされておりますが、通常では難しいとされている施術なども詳しく説明のないまま上げられています。
勘違いさせてしまうような投稿をする美容師側が一番ダメですが、いざ美容院へ行ってオーダーしてみて『えっできないの?』とならない様に、なるべく自分でも色々調べてから予約することも大切です。
いや、まぁ。基本的にお客様は悪くないです。
紛らわしい投稿をする美容師の所為ですね。
ブリーチしてあるのか、して無いのかをお客様が判断する方法は簡単です。
その画像をアップしている美容師さんに、コメントやメッセージで「このカラーは黒髪からでもブリーチ無しで出来ますか?」と聞いてみてください。『黒髪からでも』というのがポイントです。
ブリーチありかなしか教えてくれるはずですよ。
もしそれでも、
「いやいや、ブリーチ無しって書いてあるし!できないの?」と思われるのでしたら、そのSNSをアップした美容師さんのところに行かれるのが一番です。
何らかの特殊技術を持っているスーパー美容師かもしれません。
ぜひ参考にしてみてください。
今回もご覧いただきありがとうございます。
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